苦難は続く





雑草プロの動画の連中を見ていると、時々可哀想になる。

最近のアニメは異常なほど影が多い。複雑なニ号影まで付いて、そのうえハイライトまで付く。使う色鉛筆は作品により異なるが、使用する色鉛筆の指定までされる。

色の種類だけではなく、軟質や硬質の使い分け。

作品によってもまちまちだから、うっかりミスも多い。せっかく鉛筆の線画が終わっても、色鉛筆のトレス線を違った色でやってしまうと、やり直しになる。

また昔と違って、仕上げがわかりやすいように、肌の影と頭の影や服の色まで、違った色を使わないとダメな作品なんていうのもある。

色使いはこの作品はオーケーでも、あの作品はダメ、あっちの作品は別の色…といった具合に混乱する。

セルの時代のアニメと違って、色は表から塗れない。動画用紙の裏から塗らなければならない。もうここまでくると動画の作業というよりも、色の区分け作業の方に時間がかかる。

動画に動きを付けたり、絵を描く作業というものは、だんだん失われつつある。

アニメもデジタル化が進み、色付けは効率的になったものの、動画の人間達はそのしわ寄せが大きく、ますます食えない状況に追い込まれている。

スタジオジブリなどは色鉛筆を支給してくれるが、他のアニメ会社は殆ど支給などはしてくれないから当然自腹になる。

そこでどうだろ?

影付けの作業は元請けの制作会社で、出来上がった動画に影だけを付けるという、専門職を雇ったらどうなんだろ?

その方が効率的だし、動画の連中だって「絵を描ける」し、今よりはマシな生活になる。

今のアニメを見てると、中には稚拙な絵をゴタゴタした線や影でごまかしている作品もある。

昔は「影は絵をごまかす作業だから、俺は極力付けない」という原画マンや作画監督など猛者もいた。

意外とシンプルな絵ほどごまかしが効かない。

影を分業制にして、もっと分業が進んだとしたら、中国みたいに腕担当のアニメーターや、足担当のアニメーターまで出てくるかもしれない…

中国ではそうらしい。一時この会社に中国で指導していたアニメーターがそう言っていた。どう作業するのか詳しくはわからないが事実らしい。

その中国で指導していたアニメーター氏、某有名なアニメ学校の講師もしていた時期もあって、鳴り物入りでこの会社に来たが、全く使い物にならず、ここを去って行った。

あまりにもレベルが低すぎて、教えてもらう人間が小馬鹿にして収拾がつかなくなってしまったのだ。

よくもそんな人間が、某有名なアニメ学校の講師として指導していたのかと思うと、教えられた人間も迷惑な話だ。

ひどいアニメ学校になると、卒業制作のアニメが、穴ボコから覗いて絵がクルクル回るアニメが課題だという学校もある。そこの卒業生がここに在籍していた時があったが、授業料が二年間で250万円だったらしい。その学校は今でも現存する。

アニメをするのに金がかかり、やっても金は微々たる額…

「アニメッシュ」の苦難はまだまだ続く。