消えゆく日本人



 日本のアニメ界は、現在は最も深刻だ。ほとんどの作業を、人件費が安い理由だけで海外に発注している。中には作画監督と演出だけが日本人という作品もある。
 このスタジオも最近、突然ある親会社から三分の一に仕事を減らされた。「オタクとは契約書は交わしていませんから」と、今までの貢献さえ、親会社の金の為だけでアッサリ切り捨てられてしまう。
 そのうち日本にはアニメーターがいなくなる。スポーツと同じで、プレイする人口が減れば減るほどそのスポーツは衰退する。安けりゃいいって問題じゃない。雑草達の、その他大勢の文化が無くなる。雑草達の夢へ向かっての苦しみさえ奪うことになる。
 著作権で食える人達と、毎日、日雇い作業の現場の人間達とのギャップがあまりにも大きすぎる。

 日本のアニメ界だけにとどまらず、そのうち日本の映画界も人件費が安いというだけで、主役以外は、発展途上国の役者集団にとって変わられてしまうとも限らない。
 まさに、今のアニメ界はそうなのだ。
 そして、アニメ界の底辺で生き続ける雑草達の人間模様のドラマだけは、終わらせてほしくない。
 雑草達の必死で生きる夢だけは、摘んでもらいたくない。