エイケンは御立派

                                                                                                           2015/10/09





前回の話でアニメ界の心無い体質に触れたが、中には下請けに対して心優しい気遣いのある会社もある。
それは「サザエさん」でお馴染みの「エイケン」という会社だ。

知り合いの下請けの関係者によると、エイケンでは毎年下請けに社長名が入った御中元の菓子折りが届くらしい。
それも分け隔てなく、例え動画だけしかやってない下請けの会社にも届くらしいのだ。
少しでも作品に関わりがあれば、関係者に対して差別することなく心使いをしてるらしいとのこと。

そんな話を下請けの関係者から聞いて恐れ入った。
それが一般社会では普通の事だったとしても、アニメ界ではごく稀なこと。
他のアニメ会社じゃ決してそんな事はしない。毎年年末に欲しくもない自社のカレンダーを配る程度だ。
他社ではそういった心使いをしたとしても、作品の監督とかチーフディレクターぐらいまでだろう。
まして動画しかしていない下請け会社には、絶対にそんな事はしない。逆に「お前らに仕事出してやってんだ。」の精神だから、蔑みの心はあっても労いの心は無いのだ。

他の心無いアニメ会社から無理難題を言われ、心が折れそうになりながら、それでも頑張っている下請けのアニメーターにとっては、その差し入れはどんなに勇気付けられる事だろうか。
名も無く恵まれない下請けのアニメーターにとって、それはまさしく心の中の砂漠のオアシス。そういった心境だろう。(だったらしい。)

そんな話を聞かせてくれた下請けの会社では、そのエイケンの社長名が入った「のし紙」を大切に保管いるらしい。折れ曲がらないように汚れないように、ハードクリアーケースに入れて、その心使いに感謝しているとのこと。
それを今回お借りして写真を撮ってみた。

    
    (エイケンという会社の由来は、この社長の名前からきているのだろうか?)

ご覧のようにエイケンという会社が誠意ある立派な会社だという事がわかる。でもなかなか出来る事じゃない。
アニメ界は上には弱く、下には強いカースト制度のようなものだから、このように差別なく、心使いの出来るアニメ会社は数少ない。残念ながらアニメ界は、それぐらい荒んでる。

俺はこのエイケンの社長さんとは、一面識も無いが、きっと心優しい人なのだろう。そして食うや食わずで頑張っているアニメーター達の、泣き笑い人生もわかっているのだろう。
もし、これが社長の指示じゃなくて、部下の配慮だったとしても、それは社長をはじめエイケンという会社組織がしっかりしているという証拠。

いみじくもこのホームページのホームにある「光あるところに影がある…」の文章はエイケンさんの「サスケ」を勝手にいじって書いてある(エイケンさんごめんなさい…)
まさにアニメーターとは、数知れぬ忍びの者なのだ。きっと下請けのアニメーター達はエイケンの社長を「服部半蔵」だと思って頑張ることだろう。

そんな話を下請けの人間から聞いて、俺も心温まる清々しい気分になった。
きっとエイケンに絡む多くの外部のスタッフ達も、大きな勇気と力強いアドレナリンをもらってることだろう。

よけいなお世話かもしれないが、エイケンさんには今後も外部のスタッフに、心優しい「元気の出る贈り物」は続けてやって欲しいものだ。

殺伐としたアニメ界にお日様が…

♪みんなが笑ってる♪お日様も笑ってる♪ルールルルル♪今日もいい天気♪