雑草プロの新たな歴史

                                                                                                           2016/01/11





新年を迎えて仕事が始まった数日後、スタジオの電気ポットが壊れた。
お湯は沸くのだが、お湯が出ないのだ。おそらく内部のどこかが壊れたのだろう。
新しく買わないとみんなコーヒーも飲めないし、カップ麺さえ作れない。不自由するのは間違いない。
とは言っても会社はあまり金は出さない。

そう考えた俺は、去年入ってきた新人の大出(仮名)に声をかけた。
俺「リサイクルショップで大出にポット買ってきて貰おうかな。」そう大出に声をかけたのには訳がある。
大出の使っていた椅子がボロだったので、年末に会社の予算で新しい椅子に替えてやった。
リサイクルショップの椅子だが、大出が自ら選んで買ってきたのだった。
大出ならリサイクルショップを知っている。そんな理由だった。

ところが、大出から返ってきた言葉は「ええ~っ」…明らかに怪訝な表情で不快な返事…
ぺーぺーのクソの役にも立たない人間がだ。
あれこれこちらがいろいろ気を使って、椅子を新しくしてやっても、この態度…

もう俺は怒らない。クルクルパー相手に怒っても無駄だからだ。
俺「わかった、わかった、買いに行かなくていいよ。」冷静に俺はそう言った。これから誰に面倒見て貰うんだ? そして今後どれだけ自分が損をするのか、想像も出来ないのだ。それを注意する先輩一人いない。

結局電気ポットは買わない事にした。俺には別室に私用のポットがあるから困らない。
そしてスタジオの壊れたポットの脇に「お玉」を置いといた。壊れたとはいえ、お湯は沸くのだから、「お玉」でお湯をすくって使えばいいのだ。お前らにはそれで充分だ。

体育会系の人間には信じられないだろうが、アニメーターはこんな人間が多いのだ。
先輩後輩の関係がわからない、上司と部下の関係もわからない…自分さえ良ければそれでいい。
アニメーターは一般の仕事と違って、人との交流も少ないうえ、人間性も問われないから(ここは問う)こういった馬鹿が多い。(業界の皆様、思いつく奴いるでしょ?)
自己中心的な人間が多いから、まともな人間でも周りに感化されて、いつしかそれが普通になっていく。

アニメ界のアニメーターは、一部の優秀なアニメーターで成り立っている。
超一流のアニメーターが一割。超までは付かないが、一流のアニメーターがあと一割。
そして普通のアニメーターが三割で、二流、三流どころのアニメーターが三割。残りの二割のアニメーターは、ろくなもんじゃない。
仕事も出来ないし、およそ一般社会で通用しないぐらい、どこか心が病んでいる。
特に精神を病んだ人間は、こちらがヘタに気を使うと、思わぬしっぺ返しがくる。逆恨みをされて、思わぬ行動をする。

こんな輩が多いから、いつまでたってもアニメーターの印象は良くならない。
いろんな会社の知り合いに聞いても、こういった馬鹿は無視して放置してるらしい。
ところが、その「無視」さえ気付かず、心地よく仕事してるとのこと。

テレビも録画機も無いこの雑草プロに新たな歴史が刻まれた。
まともな「電気ポット」も無いという歴史が加わったのだ。

お前ら、そのうち椅子まで無くすからな。中腰だって仕事出来るだろ?
他の会社のアニメーターはな、目を瞑ったって、お前らよりは上手いんだ。

冗談に聞こえないのが、ああ情けない…