盲目の愛

                                                                                                           2016/01/06





新年・明けましておめでとう。
新年早々、今年の雑草プロは、波乱の幕開けだ。

2月に南がオメデタで去るのに加えて、近々「土条」も去る事がわかった。
土条と言えば、まさに雑草プロのヌシという異名があるほど、重要な存在だ。

事情は年末に父親が脳梗塞で倒れ、長女でもある土条がその介護の為にリタイヤして、新たな人生を始める。
年末に土条の父が倒れたのは土条から聞いていたが、その時は俺も土条も介護が要すると思っていなかった。
ところが、土条は帰省してから、初めて介護を要する事実を知ったのだった。
そして正月の三が日に土条とメールや電話のやりとりをして、土条の固い決心がわかった。

仕方ない…土条が決めた事なら、俺はどうする事も出来ない。
南と土条が抜けるのは確かに痛い。まるで左右の翼をもがれたような気分だ。
だが飛ぶことが出来なけりゃ、走ればいい。

そんな事よりも俺が心配なのは、土条の今後だ。
土条が父親の介護の為に国に帰れば、付き合っている彼は東京に取り残される。
ところが、その彼は土条を追って、土条の国で仕事を探すと言ってるらしい。
土条の両親は交際そのものに大反対。それは彼が障害者手帳を持つ障害者だからだ。現在も障害者施設で働いている。
計算もままならない彼に果たして仕事があるのだろうか? 一般の仕事は彼には出来ない。

そんな彼は何も持ち合わせてはいない。あるのは土条を愛してるという事だけだ。もちろん土条も彼を愛してる。お互いにただそれだけ。
彼にとっては土条が全て。土条の近くに居られれば、あとは仕事も何もどうでもいいのだ。そして結婚まで考えている。
そんなハンデを持つ何も無い彼の人生まで、土条は背負う事になる。親が反対するのは仕方ない。

ハッキリ言って彼の心は小学生。平気で自分のオナニーの話をする。土条とのエッチですら話そうとするから、慌てて止める。今回の件にしても、好きだから一緒に居たい。あとは何もない。
俺は彼を全く信用してない。もちろん南も。土条が病気で入院した時ですら、土条の彼は俺や南に仁義を欠いた。南も憤慨している。
おだてないとへそを曲げる。彼を知れば知るほど理解できなくなる。

俺が過去に心無いアニメーターと裁判で争った時も、こちらの情報を全て「敵側」に流したのは、当時俺の部下だった土条の彼だった。
人に嫌われたくないから、頼まれたら断れない。純粋と言えば純粋なのだが、「純粋だから」事の重大性も考えられず、平気でそんな事もできてしまうのだ。
その裁判はこちらの全面勝訴だったが、その裁判をぐちゃぐちゃにしたのは土条の彼。

土条には悪いが、俺はハッキリ言う。現実をよく考えた方がいい。そして目覚めろ!
土条という一人の人間に出会ったからには、俺には責任がある。とかくアニメーターは変人が多い。「土条お前もか」の心境。
君が辞めたあと、俺は君の親御さんに彼の事実を報告する。必ずする。それが俺の責任だ。
君らの愛が本物ならば、それを乗り越えて、彼との人生を全う出来るはず。
今のような中途半端な盲目の愛だけなら、君らが不幸になるだけだ。

土条の幸せだけは心から願っている。例え嫌われても、俺は何事も徹底する性格。受けた恩も不義理も利子を付けて返さなければ。

だからドン・キホーテ柳田。