スターダストウォーズ

                                                                                                           2015/12/30





雑草プロの今年最後の仕事が終わった。

今年の雑草プロの忘年会は無し。これは俺がここへ来てから初めての出来事だ。
会社からは一切予算が出ないから、今までは俺の自腹で必ず毎年やっていた。

今年に限っては、身銭を切ってまで、全員と酒席を共にしたいという思いは全くなかった。
特に今年の新人は、そんな事してもかえって迷惑がるだろうし、生きてる次元が違ってる。
とにかく個人主義で、こちらが声をかけない限り、口を開く人間はいない。仕事にしても必要最低限の事しか聞いてこない。
それで仕事が出来るならまだいいが、俺の四十数年間のキャリアで、これほどまでに絶望を感じた新人逹はいなかった。
アニメーターとしての未来も薄く、人としても感情が薄い人間と、忘年会など想像するだけで薄ら寒い。そういった輩と身銭を切ってまで「お近づき」になりたくはないというのが本音だ。

レギュラー陣や南にとってもそれは同じ。「口もききたくない。」とまで言ってるぐらいだ。
言葉も感情も全く伝わらない。まるで生きてる世界が違うのだ。

アニメの仕事に賭けていると言うよりも、心を閉ざして「自分の居場所」だけを求めて、ただ机に向かってるだけ。そこには何の向上心も無い。
まず人の言う事が理解出来ないし、言われた事さえしない。数限りない叱咤激励も徒労に終わり、最後に残ったのは絶望だけだった。

なに?…
良いところ?…

「無い!」

アニメーターとしての資質?

「無い!」

今の彼らは「置物」としてだけ存在してるのだ。
だが、俺が彼らから学んだこともあった。それは「無駄」と「絶望」。
今年の新人はそれさえ気付いてない。なんとか理解しようとして頑張っているのは一人ぐらい。
今のままだと、今後新人達がアニメ界で生き残る事は不可能だろう。万が一、生き残ったとしても、十流アニメーターとして自己満足の世界だけしか待っていない。

この元気な自称ドン・キホーテの俺を持ってしても、打つ手が無い。
攻撃してくる相手には、めっぽう強い俺だが、瀕死の馬と鹿にはお手上げだ。
何度も救いの手を差し伸べても、それすら理解出来ないのであれば、置いたまま先に進むしかない。

今年はそんな虚しさを感じた一年だった。まさに雑草プロの「スターダストウォーズ」
さあ、来年は気分を一新して頑張るのみ!

2015・年末。