いい事もある







このホームページの最初の方を読むとわかるように、俺がこの古巣の雑草プロに戻った時は全員が敵だった。

全員どころか会社側まで俺には嫌がらせをした。

突然呼び出されて、指導中の会話の言葉のダメ出し。あの言葉は印象がよくないとか、ああいった言葉は使うなとの「言葉狩り」

言葉狩り程度ならまだいい。

ある時は朝早くから電話で呼び出され、何事かと思って上司の自宅に大急ぎで駆けつけた。

すると上司は服を買ってやるから一緒に付いて来いと言う。

「君の黒い上着はイメージが悪い、ホームレスみたいで不愉快だ。」

確かに俺はカッコいい男じゃない、だが給料で雇われているわけでもないし、そこまで指図される覚えはない。当然拒否すると、今度は自宅の妻にまで電話をされた。「奥さん、もっとまともな服着せてくれないと、会社のイメージが悪くなるんですがねぇ。」…

「君の隣の席には絶対に女の子を座らせないように」
「君みたいな、人を不愉快にするような容姿の人間が君の隣だと、女の子は嫌気をさして辞めちゃうからね。」

当時新人だった南が俺の隣だった時には強制的に席を移動させられた。

「君みたいな不潔感のある人間は面接官にはさせられない」とか、完全なるパワハラの連続だった。

それでも孤独に一年頑張った。そして味方が出来た。敵も居なくなった。事はうまく回り出していった。

分が悪くなったのか、上司は一切スタジオには顔を出さなくなった。

嬉しい事はもうひとつあった。俺の一人娘に心境の変化があった。

それまで俺をダメ人間と信じて疑わなかった中学生の娘は、俺を徹底的に毛嫌いしていた。反発を繰り返し、母親まで困らせていた。

恥ずかしい話だが、俺が涙をこぼしながら娘に説教しても聞く耳さえ持たなかった。

それが時々、俺の自宅に訪れる雑草プロの連中との交流で、娘が優しくなった。今では完全に信頼されてる。遊びに来る雑草プロの連中を通して、俺は娘に理解されたようだった。

ここに戻って5年経つ…

これも挫けず頑張った成果と雑草プロの連中のお陰。

だから俺は雑草プロに居る。金では買えないものがあるから。

その娘は時々雑草プロの連中に勉強を教えてもらっている。

ただ…少しお馬鹿…

「ねえ、このバカチオンって、どういう意味?」

「バカチオン?…」

見たら唖然…
(vacation)

「じゃあ、このチトレは?」

原文は(title)…

俺の娘だ、仕方ない。勉強が出来なくたって、心だけは優しくなってもらいたい。