アニメーターの日曜日

                                                                                                           2014/10/17





アニメーターにとって日曜出勤は、ほとんどの人間が経験した事と思う。
アップ日に追われ、どうにもならない時は、休んでなんかいられない。

ここ雑草プロでは基本的に日曜出勤はさせない。どうにもならない時は別だが、俺一人で何とかなる時は俺だけ自宅で作業している。
みんな毎日10時間ぐらいは作業してるし、日曜ぐらいはゆっくり休んでもらいたいという理由と、生活苦で日曜日だけバイトをしている人間もいるからだ。

だが、時々会社サイドから日曜出勤を強要される事もある。
アップ日が迫っている場合なら別だが、会社としては作業させればさせるだけ儲かるという理由だけ。
他のスタジオはおとなしく従っているみたいだが、この雑草スタジオは拒否している。

業界最安値の賃金では、特に新人達はバイトしないと食えない。
日曜出勤した場合、平日と比べて一割か二割の賃金アップがあるのならまだしも、それさえも無い。ただ会社が儲かるだけの仕組み。そんな一方的な日曜出勤はさせない事にしている。
ここは祝日も休めないし、有給休暇なども無い。せめて日曜日ぐらいは、本を読んだり映画を見たり自由に過ごして欲しいからだ。

ここに居るアニメーターの日曜日の過ごし方は、だいたいが家でのんびりしているようだ。(バイトしてる人間は別)
一日中寝てる人間。録画したアニメなどのチェック。DVDなどで映画鑑賞とか読書といった具合に、家で過ごす人間が多いようだ。
彼女、彼氏がいてデートを楽しむといった人間はほとんどいない。
疲れも知らず、アグレッシブにチョロチョロ動きまわってる人間は、俺や南ぐらいだろう。

つい最近、埼玉県の「飯能」という所に行ってみた。
たまたま駅に置いてあった冊子で、一枚の写真が目に止まった。
その冊子の飯能の山々の景色に魅せられて、出掛けてみたのだった。

着いてみて初めて知ったのだが、飯能という所はアニメにもなっているようで、町おこしの為か至る所にアニメのポスターが張ってあった。
どうやら「ヤマノススメ」というアニメがあるらしい。
アニメーターなのに不勉強と言われそうだが、アニメーターといえど全てのアニメを知ってるわけじゃない。

その飯能の天覧山のふもとには手塚プロ公認の鉄腕アトムの銅像があり、山もさほど高くなく景色は綺麗だし、手頃なハイキングが楽しめた。
天覧山から多峰主山に登って、近くにある吾妻侠の景色と透き通った水には驚いた。

さっそく雑草プロの人間に報告して、何人かで再び出かけた。
東京近郊で、こんな自然を楽しめる場所があったのかと、みんな驚いていた。

さっそく川で俺の得意な「水切り」をした。すると50~60回は跳ねただろうか、投げた石は向こう岸に届いてしまった。
田舎育ちの俺は自然の遊びが得意。今が文明社会じゃなければ、きっと俺はさしずめ酋長ぐらいにはなれる。

そうこうして、その日は飯能の山と川の自然をみんなで楽しんだ。

最近は地方都市がやたらアニメの舞台になってるようだ。秩父にしろ鴨川にしろ、他にもまだまだある。

金の無いアニメーターにとってハイキングは、金もかからないし、運動不足解消にも最適だ。

帰って来てさっそく運動靴の修理。なにせ俺の靴は890円。この値段だと、よくゴムが剥がれる。
修理して再びハイキングでリフレッシュ。元気ジジイは今日も元気!





山でラーメンマンに変身する「おばかジジイ」