糞アニメーター

                                                                                                           2014/11/24





アニメーターは難しい。(俺もそうなのだが…)
あくまでも、俺が今まで出会った何百人かに限るが。

良く言えば純粋。悪く言えば子供。
そして自由人。いろんな意味を含めてのことだが、アウトローなのだ。

ごく普通の仕事をしたくないからアニメーターになる。流行のファッションや、コンパ、旅行、貯金、などなど一般の人達が欲する物に興味が無いのだ。(むしろ出来ないのだが…)
一般社会に存在するものをあえて捨ててアニメを描いてる。
でないと、こんな割に合わない仕事は出来ない。

ここ雑草プロでもそうだ。どこか普通の神経じゃないから続けられてるのだ。
そうわかっていながら、それを忘れて俺はごく普通に接してしまう。
それがいけないのだ。仕事以外で絡んではいけないのだ。
おそらく本人達もそう思っていることだろう。

ここのアニメーターに「普通」を要求してはいけないのだ。
「挨拶」「礼儀」」「一般的な常識」、それらを求めちゃいけない。
これらを持ち合わせてる人間は、残念ながら辞めてしまう。
他の職種でも立派に通用するからだ。

あと転職してしまうのは「絵の上手い奴」
漫画家になったり、イラストレーター、画家になった人間もいる。

俺は今までこの雑草プロの人間逹から、仕事のシステム以外の事は聞かれた事が無い。
いろいろ聞いてきたのは南だけだ。
ここでは精神論なんて通じないし、俺の経験などは過去の産物で興味も無い。
「今現在」が一番大事なのだ。
過去も未来も存在しない今現在。
本当に自分一人の世界観だけで生きている。

ダメな人間は、機械的に時間だけ浪費して作業してれば上達すると思っている。
それは本人の自由だから、それはそれでいい。

だが、俺の知ってる上手い人間は、みんなアグレッシブだった。そして「繊細」だった。
ここにはそんな人間はいない。みんな大ざっぱでガサツ。だから上達しないし、その場限りの垂れ流し。

アニメーターは、どちらかと言うと、性格的に「せっかち」じゃないとスピードは身に付かない。
ここに居る連中は全ての動作がスローモー…
机の棚の動画用紙一枚取るのでさえ5、6秒かかる。
一分も二分も紙をペラペラめくって考えてる。
瞬時に判断する能力も無いのだ。

どうしたらもっと早く描けるか、上達するか、人には絶対聞かない。
俺が話しをしたり、動作を交えて見せても実行はしない。
駄目で元々などという考えは無く、自分のやり方は決して変えないのだ。

恋愛も想像、仕事も想像、全て自分の頭の中の想像でしかないなのだ。

一番の問題点は、マイペースで全く他人の事を考えられない点だ。
決して悪い人間は一人もいない。みんな真面目で素直に見える。
それはあくまでも「見える」だけだ。見えるように装っているだけなのかもしれない。

頭が頑固で普通の感性を持ち合わせてない。「普通のアニメ会社」にはレベルが低すぎて入れないから、ここに居る。業界最低賃金を受け入れて。

だから「普通」を求めちゃいけないのだ。
言葉はキツいけど、それが事実だ。そういった人間を相手するのは大変だ。直しに直しまくってなんとかプロのレベルに保っている。
特に今年の新人は、素人同然のレベルのくせに時間は守らない、上司の俺の連絡さえ無視する。返信さえ返さない。
そんな馬鹿は「日干し」にする。仕事を与えず、練習させておく。嫌なら辞めればいい。

そんな最低のアニメプロの素人同然の最低のアニメーターとの触れ合いは、俺のアドレナリンとなり、俺を元気にさせている。
普通じゃない人間観察は反面面白いが、反面疲れる。
何で俺の周りは普通じゃない糞アニメーターが多いんだろ?

普通なのはレギュラー陣と南ぐらいだな。

そうそう、南のお父さんが、今あるビッグ歌手の作詞を手掛けているらしい。
俺はその歌手のファンで、発売を楽しみにしてる。是非ともヒットして欲しいもんだ。
これ読んだ人。
もしそれが発売されたら、一人100枚のCD購入がノルマだぜ。
買った人に娘の南のサインを付ける(いらないか)

さあ、また馬鹿相手に仕事、仕事。