天にツバ



アニメ界の低賃金ゆえ、雑草達の生活は苦しい…

マスコミ等で「日本の誇るアニメ」などと、もてはやされてはいるが、多くの若者達は夢だけ食って生きている。
その元凶は、未だにアニメの創世記に制作費を安く設定した「手塚治虫さん」だと言う人間も多い。
だが、俺はそうは思わない。

それを変えられなかったのは、アニメ界全体の責任だ。
早い話、手塚治虫さんを超える人間が出現しなかっただけ。
今では「宮崎駿さん」がアニメ界の歴史を変えたと思うが、アニメーター達の貧困だけは変わらない。
その現状を変えられるとしたら、第2、第3の宮崎駿さんの出現を待つよりないだろう…

全てを手塚治虫さんのせいにするのは、自分達をかえりみずに天にツバを吐くようなものだ。
束になってもかなわない、自分達はこんなにもチンケな者達なんですよと晒すようなもの。

そうは言うものの、現場の人間達の境遇は悲惨極まりない。
テレビ局なども現場を知っていながら、あまり取り上げないのは、現場の犠牲によって自分達が大儲けしている事実を暴露してしまうからだ。
そんな天にツバを吐くような報道は絶対にしない。

俺が望むことは、これから続く後輩達が、せめて三度の飯が食える「職業」としての確立だけだ。

贅沢は言わない、ただそれだけだ。