雑草プロ紹介
ここ雑草プロには上手い人間は入ってこない。殆どの人間が他で断られたか、全くの素人が入って来る。
あるのは情熱だけで、アニメをやりたくても、他に行き場の無い連中が集まってくる。
だから支払われる賃金は他より安い。
作品によっても単価は違うが、雑草プロの動画の単価は一枚描いて100円から最高でも130円。スペシャル番組や劇場作品で、やっと150円もらえる。
原画は第二原画が1カット1000円。レイアウトも含めた第一、第二原画を合わせても1カット単価が3000円にも満たない。(平成二十五年十二月現在)
雑草プロのアニメーターは、スタート時は素人レベルでも、稀に才能が開花する人間もいる。
この雑草プロの歴史の中でも、一線で活躍するアニメーターを生んではいるが、ある程度自信が付くと他の会社に行ってしまう。
やはり40年前の単価と、さほど変わらないのでは生活がキツい。
俺は経営者でも何でもないから、そればかりはどうしようもないが、だからといって仕事に対しては手を抜かない。たとえ下手でも「仕事」としてのレベルは保させている。
しかし会社側からは、動画だったら一人一日最低40枚、原画だったら一人一日最低8カットをあげさせろと言われてる。
ここで最近のアニメに詳しい人なら、これがどんなに無謀な数字かおわかりいただけるだろう。
そんなに描けたら、みんなこの会社にはいない。
苦しくてもなんとか這い上がろうと雑草達はみんな頑張っている。
人の人生なんてどうなるかわからない。
有名な某作画監督などは、アニメーターとして雇って貰えず、しばらく制作進行をしていた。
その後アニメーターに鞍替えして、ビッグになったという実例もある。
アニメーターでもチャラチャラした奴はダメ。
声優がどうの、あのキャラが素敵なんて評論してる奴に限ってダメ。
描くことに関係ないし、上手くなる奴は評論する暇があったら練習してる。
そういえば、この雑草プロに居るタマの友達に声優がいるらしい。
それも主役の声やってる女の子。作品名を言うとタマの実名がバレる恐れもあるので止めておく。
タマも例外ではなく、少しオタクが入った女の子。フィギュアの話になると止まらない。
一時はテレビアニメの全作品をチェックして睡眠不足で、フラフラしながら仕事をしていた。
俺に怒られながらも頑張ってる。仕事のプレッシャーからか時々涙こぼしながら仕事してる時もある。
ここはそんな発展途上の雑草プロダクション。個々は違っても大きな思いだけは同じなのかも。