俺だって悩む




雑草プロの貧乏アニメーター達の面倒を見ていて、時々心が揺らぐことがある。

それは雑草達を仕事人じゃなく、一人の人間として見てしまうことだ。

出来上がった仕事が及第点ならいいが、それが微妙な境界線上にある場合、判断に迷いが生じる時がある。

本人の上達の為に心を鬼にしてやり直しをさせるにも、その仕事が仕事として成り立たないほどの内容の時には心が痛む。

大の大人が100円程度の仕事を何時間もかけて作業しなければならない事もある。

親会社は大袈裟に言えば、作品を芸術的に捉えてる。
現場としては、その金額に見合った「仕事」としても考えて貰いたいというギャップもある。

アニメーターの場合、明らかな身分制度が存在する。
「動画」と言う作業をしているだけで軽く見られる。

作業内容がわからず、親会社に電話しても、「動画」というだけで人間を見下す演出もいる。

一面識も無いのに「ああ、そう、原画に書いてないの? じゃあキャラ表にあるように作業しといてくれればいいから」そう横柄な口ぶりで、ひと回りもふた周りも年下の人間にタメ口で言われる事もある。

コイツ等は低賃金でも、好きでやってるんだから、やらせとけといった腹の中が見え見えなのだ。

そして少しでも意見を言おうものなら、どこかのプロデューサーみたいに差別発言までして激怒する。

人権を唱え、歴史まで歪曲する局は、人権を無視したアニメ制作会社に依存してるのかわかってるのだろうか?

低賃金の雑草達を知ってるがゆえ、一人の人間として機械的に見られない。
でも仕事は仕事だから、一回はやり直させるものの、それでも直ってない時は、俺か南で直して出している。

アニメーターが「給料」として成立する職業ならば、俺の悩みも少しは消えるのだが…