アニメーター志望の若者達へ
今まで多くのアニメーターを見てきたが、アニメーターって良いも悪いも含め「オタク」なんだろうと思う。
「オタク」って言い方がマイナスイメージだが、それに賭けるという意味では、陶芸家も刀鍛冶もオタクの一種。
思いが賭けすぎて周りが見えない気質がある。そしてどこか世間ズレしてる部分もある。
もし君がアニメーターを目指しているのなら、よほどの覚悟がない限り止めた方がいい。
そこには貧困と共に苦悩が待っている。飛び抜けた感性、飛び抜けた画力、飛び抜けた精神力があるのなら別だが、その他大勢程度のレベルなら止めた方がいい。
あとはお金が余ってるお金持ち。
アニメーターは延々とひたすら走り続ける。止まってしまうと食うこともままならない。
その走り方に個性はいらない。個性は求められてはいないのだ。
そして閉ざされた空間で走り続けるがゆえ、世間一般の常識から取り残されていく…
アニメ馬鹿だけになってしまっては、失うものも大きいのだ。
俺は40年間の長い経験で、数少ない成功した人間と同時に数え切れない敗者を見てきた。
長年続けて夢敗れ、結婚も出来ず、転職も叶わず、アニメ界の低下層で、人間を拒否して、廃人のようなアニメーターが居るのも現実。
アニメーターという描き手一筋で、終わる人は少ない。また一般人に認知されてるアニメーターという人種もいない。宮崎駿さんですら「監督」として知られているのだ。
アニメーターは黒子なのだ。決して華やかな職業ではない。下忍の類なのだ。
上手い奴はあまりの馬鹿らしさに、アニメーターから足を洗う。そしてイラストレーターや漫画家、画家への道に転職していく。
あるプロデューサーが言った。「大勢の人間が束になったって、たった一人の原作者にはかなわないのさ、俺達はその食いカスにありつくだけだ」…
それでも諦めず、困難に挑み、今の現状を打破しようと、挑戦してくる元気な若者を待っている
このオジさんも、夢のカケラを信じて、今も雑草達と一緒に生きている。