「グレートマジンガー」の影武者
2024/11/13現在「誕生50周年記念」でグレートマジンガーが再放送されている。
グレートマジンガーについては過去の別の章でも、こぼれ話を載せているが、良くも悪くも思い出深い作品だ。個人的には作品そのものよりも、むしろ当時の「赤村プロ」の会社内の人間模様を思い出す。
今回は誰も知らないグレートマジンガーに関わる秘話をしようと思う。
当時赤村プロの社内では、東映からグレートマジンガーの原画と動画の一本を受け持って作画していた。この頃は主だった先輩スタッフが辞めてしまったので、人数は社長も含めて6人しかいなかった。その6人で一話分の原画と動画を仕上げていた。現在のアニメでは考えられない少人数だが、他の下請け会社もそんなものだった。
優秀な多くの先輩方は、社長と「村山女子」に追われて出て行ってしまったようなものだった。当時の社長の村山女子に対する「えこひいき」は半端じゃなかった。(トップページあの事件の真相参照)
それに反発した先輩方はみんな去ってしまった時期だった。そんな「特別扱い」の村山女子が、後に社長から「悪魔」として凄絶なリンチを受けることになるとは夢にも思っていなかった。
先輩方が辞めた後は、村山女子の天下で、社長もそれに応じた。動画陣は定時がくると色塗りの仕上げの仕事までやらされた…
当時の動画陣は3人。あと2人居たのだが、1人は結核で入院してしまい、もう1人は腕が悪く進行に回されてしまった。
その進行は社長の弟に、ある宗教に誘われて、入信を断ると激怒された。そして「シカト」のパワハラを受けるハメになる。
あのリンチ事件の始まりは、村山女子と赤村社長の蜜月時代のグレートマジンガーからふつふつと動き始めた。
後にアニメファンの間で、赤村プロの女性キャラは色っぽいと話題になったが、それは違う。あれは女性キャラが得意だった「村山女子」の絵だ。赤村プロの女性キャラは作監修正も含め、ほとんど村山女子が任されていた。グレートマジンガーの主人公の鉄也のパートナーの「炎ジュン」の絵も、村山女子のものである。
赤村プロの過去のスーパーロボットもので言えば、「鋼鉄ジーグ」の美和や「ガ・キーン」の舞も、村山女子の手によるものだ。それぐらい彼女は会社に貢献していた。
女性キャラが不得意な赤村社長はそれに頼っていた。
目や唇の微妙なニュアンスなどは、村山女子から赤村社長は学んでいた。だからこそ赤村社長は多くのスタッフを犠牲にしてでも、村山女子を手元に置きたかった。
後にその上手さがアダになったのか、社長兄弟の嫉妬を招いて「悪魔」にされてしまった…また現在画家として活躍しているD氏も、悪魔として悲惨な目に合い、アニメ界を去って行った。
女性キャラだけじゃない。
赤村プロ独特といわれた「爆発」だって、あれは「ゼロテスター」時代の安彦さんの原画のパクリだ。安彦さんの原画を保存して描いていたのを俺はハッキリ見ている。後にその独特な爆発は自分の手柄として振る舞っていた。
応用ならまだいいが、赤村プロの女性キャラは応用じゃない。直に村山女子が描いていた。
赤村プロの色っぽい女性キャラは、業界やファンの間では、赤村社長の手柄と思われているが、実際は村山女子のものである。
社長は村山女子の才能に新たな可能性を見出したのか、アニメを捨てようとも考えたようだ。
社長兄弟と村山女子の会話に同席した時。社長が突然こんなことを言いだした。
社長「俺はこれから雑誌に転向するかもしれない。俺が主役を描いて女性キャラは村山君に描いてもらう。」
そして弟に対しては「お前はそのアシスタントとして協力してくれ。」
弟としては当然おもしろくない、それまで社長に継ぐNO2としてやってきた腕が 村山女子に奪われたのだ。この時から弟の悪羅氏の怒りと嫉妬の感情が村山女子に向けられていく。
結局、雑誌転向はならなかったが当時の社長にとって、村山女子は肉親の弟よりも大切で重要な人物だった。
赤村社長がここまで入れ込んだ女性を悪魔として消そうした事に一番驚いたのは、事情を知ってる俺だった。
社長は村山女子からコツをある程度学んだ頃、村山女子を必要としなくなっていった。逆にうとましく邪魔な存在になっていった。
そして「悪魔」を利用して若いスタッフを使って、あわよくば村山女子を消そうとした。それまでの事情を全く知らない新しい若いスタッフ達は、赤村兄弟の「巧みな洗脳」によってハメられたのだ。恐ろしい事だがこれが真実だ。
この国では利権が絡むと、ジャニーズ問題と同じように真実は報じない。
アニメ界の真実の「裏歴史」だって報じるところはどこもない。影武者のように働き、下忍のように功績も知られず闇の中に消えていったアニメーターもいるのだ。
赤村プロに貢献しながらアニメ界では全く光も浴びず、ぼろ雑巾のように捨てられた彼女は哀れ過ぎる。
忘れかけた彼女の功績を追加しておこう。
元アニメーターだった「いのまたむつみ」さんが、もし葦プロに入社しないで、間違って赤村プロに入っていたら、彼女もまた悪魔の対象になっていただろう。そう思うと人との出会いも人生を左右するのだろう。
そしてもう50年過ぎたか…
そんな複雑な思いを寄せながら、たまにグレートマジンガーの再放送を見ている。その恐ろしい会社は今も元気だ。