ハゲちゃびん騒動

                                                                                                           2014/12/23





アニメがまだセルの時代。
各下請けプロダクションの代表が、賃上げ交渉に挑む為、ある大手の会社に集まった。
ところが、その大手の会社の社長が言いたい放題。
最後の捨てゼリフが、「だったら君らは、全部いらないいよ、海外に出せば済む事だから。」

この言葉に「武士道アニメーター」でも紹介した拝さんがキレた!
「おい! ハゲちゃびん! 言いたい事ばかり言いやがって! 」と、ハゲ社長を散々罵倒して、言いたい事だけ言って席を立った。

その結果、拝さんの所に仕事は回って来なくなった。
拝さんにしてみれば、大手プロには協力してきたし、アニメーターの人材育成の為に海外にまで指導に行っていた時期もある。
その海外の人材も育った頃、大手からの裏切り行為に我慢がならなかったのだろう。
利用だけされて最後は捨てられる。そんな思いだったろう。

拝さんは仲間内からは「よく言ってくれた。」と賞賛されたが、大手プロの仕事は失った。
まるで忠臣蔵の「松の廊下」みたいな出来事だったが、残念ながら忠臣蔵のような討ち入りは無かった。

今や日本のシリーズアニメは、海外の外注がなければ、人手不足でほとんど死滅するだろう。
80年代の一時期、韓国のストライキで、日本のアニメ界がアタフタしていた時期もあった。

今現在、日本はいろんな問題で、中国や韓国と揉めている。
もっと悪化すれば、人手不足で一時だけは国内のアニメーターも少しは潤うだろう。だがいずれは再び低賃金の海外に仕事が回る。
アニメ界の底辺は「契約社会」じゃないから、いろんな問題がはらんでる。

それでも「揉める元気」だけでもあるならまだいい。
今や雑草プロの「世捨て人チーム」は、その元気さえない。ただ生きて動いてるだけ。
個人主義で幼稚、そんなアニメーターが最近は多い。
人を避け、どっぷりと陰湿な沼の中で泳いでる。

そんな俺のテンションが下がってる時に、OBのヨリが差し入れを持ってやってきた。
土曜日だったので、仕事が終わった後に別室で酒盛り。
安い酒とツマミを買ってきて、レギュラー陣も参加してワイワイ。
そして遅くまで仕事していた新人も参加させた。
ところが、新人は陰湿な空気を醸し出しながら、ずっと黙ったまま酒を飲み続け、「御馳走様」の一言も無く帰って行った。

これがここのクズ人間…もはや怒る気力も無く呆れるばかり…場がシラケないように装ったが、今年はそんな人間破壊の新人が多い。
俺も「おい! ハゲちゃびん!」とキレてやりたいが、残念ながら、そいつはハゲじゃない。
だったら、こう言ってやる!「やあい、お前の母ちゃんデベソ!」
幼稚な奴はこの方が傷付くかも。