無理やり前向き

                                                                                                           2015/02/04





月末に雑草プロの新年会も終わり、また新たなスタートをきった。
今日はもう節分。みんなでスタジオに豆を巻き邪気を払った。

南がもうすぐ休暇を取る。結婚してから、お互い忙しくて、まだ新婚旅行に行ってないのだ。
行き先は「ニューカレドニア」
ニューカレドニアと言えば、昔「原田知世」主演の映画「天国に一番近い島」で話題になった所だ。
その映画の主題歌は、南の父が作詞している。
原田知世気分になって、楽しんで来てほしいものだ。

南はアニメーターには珍しい「普通の女性」
常識はあるし、社交性もある。ギターも弾けるし、ピアノも弾ける。
たぶんどんな職業をやらせても、平均点ぐらいの仕事は出来るだろう。

ところが、女性のアニメーターとなると「普通の女性」は、なかなかお目にかかれない。
この雑草プロでも正直言って「一般職」で通用する女性はほとんどいない。みんな口下手で社交性は乏しいし、世間的な常識も怪しい。

俺が今まで出会った「駄目タイプ」の女性アニメーターは、大まかに言うと3パターン。
「陰タイプ」、「獣タイプ」、「夢タイプ」の3種類。

「陰タイプ」は、無口で人見知り。社交性もなく、自分だけの世界観だけを愛する、孤独が大好きなタイプ。ただし、嫌な事も全て腹に貯めるから、それが溢れると、かなり陰湿な仕返しがある。(過去には犯罪になった例も)

「獣タイプ」は、陰タイプとは逆で、非常にプライドが高い。そのプライドは恐ろしいほど高く、自分自身を力以上に評価してるから手に負えない。このタイプが一番やっかいで、過去にはスタジオ乗っ取り騒動や、女同士の殴り合いなんてのもあった。それも取っ組み合いの喧嘩ではなく、お互いに睨み合い、一発ずつ殴り合うという壮絶なサドンデスだった。(この獣タイプは警察が介入する例も過去には多々あった)

「夢タイプ」は、夢見る夢子ちゃん。アニメオタクとほとんど変わらない。机の上には好きなフィギュアを置き、暇があれば徒党を組んでアニメの批評会。大人に成りきれず、精神的にも幼く、上手い人間はあまりいない。(このタイプだけは男性とは違い、宮崎勤のような犯罪例は聞かない)

そして全部のタイプに共通してるのが「自己中心的」で、自分の事しか考えられない。他人はどうでもいいのだ。そしてナルシスト。
駄目タイプは容姿も大体決まってる。デブ、もしくは小太りで眼鏡をかけている。服装も工務店のオッサンが着てるような服装をしている。無駄な荷物も多く、子供みたいなショルダーバッグを肩から垂らしてる。
そして好みの男は、アニメキャラか、ブン殴ってやりたいぐらい異常なほどハードルが高い。
また駄目タイプは、何がしかの援助を受けているから、厳しい社会性に乏しく仕事に対しても無責任。

大手にはあまり居ないだろうが、特に下請けのアニメ会社には変なのが時々居る。
完全に自立して家賃、年金、税金、国民健康保険まで払っている女子アニメーターはかなり少ない。
上記の3タイプに当てはまらず、完全に自立していれば、一人前のアニメーターだろう。

ここ雑草プロでも「普通」のアニメーターが人手不足で、やりくりが大変だ。人数だけは多いものの、戦力になる人間はなかなか…

そう思ってたら、制作の人間が来週から来る新人の履歴書を持ってきた。
「ガーン!」( ̄□ ̄;)!!
ふざけんなよぉ~!
今まで全く絵の関連の仕事をした事が無い、三十六歳の素人男だぜ!!
勘弁してくれよお~
絶対に戦力どころか、お荷物にしかならない。他じゃ絶対ありえない…(笑ってくれ)
それにしても「諦めなさい」と諭してやった方が人道的。

昔Kという三十歳の男が、どうしてもアニメがやりたくてサンライズスタジオに電話した。
だが応対した制作の人間に、「悪いことは言わない、諦めなさい。」と、とつとつと諭された。でもどうしても諦められず、ここを調べてやって来た。そして何のテストもせず入れてしまった。
結果はお互いに無駄な日々だけを浪費した。

ここは悲しいことに来る人拒まず。それの繰り返し…
何ヶ月間も練習させて、いろいろ教えてやっても本番の仕事にも入れず、去って行く人間も多い。会社の利益も無く、手間暇だけが無駄になるのだ。
それでも俺は付き合うしかない。本人が真面目で「まとも」ならば、本人の意志を尊重して付き合ってやろう。

いやいや、ちょっとまてよ。ここには四十六歳の新人も居る。それと比べりゃ、三十六歳は「若手」だ。(自虐的…)

そう「無理やり前向き」に考えなけりゃ、やってらんない…どうなる事やら、乞うご期待。