電話馬鹿

                                                                                                           2015/06/28





ここの別のスタジオの人間に仕事の話があって電話した。
ところが、電話番の男が取りつがない。「今、★★さんは今立て込み中です。」
時間を置いて何度かけても同じ返答。折り返し電話してもらいますさえ言わない。

俺「じゃあ、★★君は何時になったら暇になるんだ?」
電話番「さあ…」
俺「じゃあ本人に何時だったら都合いいか聞いてくれ。」そう言っても聞きに行くことさえしないでのらりくらり。
電話番「夜の10時以降になれば大丈夫だと思いますが…」人を小馬鹿にしたような横柄な態度だ。

ふざけるな! その時間はスタジオは閉まっている時間。
言語道断! 別のスタジオといえ、大先輩の俺に対して失礼。
しまいに俺が大激怒!! 散々怒鳴りまくった末、やっっと本人の★★君に取りついだ。

★★君の話によれば、電話を取りつがなかったのは★★君の意志とは全く関係なく、この電話番の男の一存で取りつがなかったようだ。
★★君とは話す事が出来たが腹の虫は収まらない。
この電話番の男の上司である制作の人間に連絡して、事の顛末をぶちまけた。

この電話番の男はそのスタジオでは、動画を描きながら「進行まがい」の仕事をしてる。いろんな会社に電話して仕事の入れの手配をしている。
そんな訳で、頭が馬鹿だから、先輩達を差し置いて、自分がスタジオの支配者だと勘違いしてるらしい。
ここの制作の総括している人間には、本人を厳重に締めるように付け加えておいた。

アニメ会社にはこういった常識知らずの大馬鹿も多い。ほんのちょっと責任ある仕事を回すと、まるで支配者になったと勘違いする。それはアニメーターばかりではなく、制作にも居るし演出にもいる。もちろんまともな人間もいる。

そういえば、電話で思い出したが、ある会社の制作の人間が嘆いていた。

制作「最近、変な電話があるんだよ。」
俺   「どんな?」
制作「あきらかに声の変換する機械を使って、俺は地獄の仁王だって罵倒するんだ。地獄に堕ちるって。」
俺   「声の変換機?」
制作「うん、そう、大体誰だか察しはついてるけどね。」

それを聞いて俺も誰だか察しがついた。
一時期、一部のアニメ業界を騒がせたイタズラ電話事件を思い出す。古いアニメ関係者なら誰かは大体は想像がつくはず。
数年前に俺の自宅にも、声の変換機を使った電話があった。
妻が電話に出ると、俺と犬猿の中の人物の名前を名乗って、散々俺を罵って電話が切れたとのこと。
声の変換機を使って電話してくるということは、そもそも本人ではない。そして声を知られたくない人物だ。
犯人はあきらかに俺の知ってるアニメ関係者であることは間違いない。

また俺の知り合いの所にも以前奇妙な電話が度々あったらしい。
突然、全然知らない男から電話がかかってきた。

知人「はい、□□です。」
相手「一体、何でしょうか?」
知人「えっ!何でしょうか?」
相手「何でしょうかって言われても、こっちこそ何でしょう?」
知人「どちら様でしょう?」
相手「どちら様でしょうって言われても、オタクこそ誰?」
知人「一体私に何の為に電話してきたんですか?」
相手「そっちこそ何で電話してきたわけ?」
知人「していませんよ。」
相手「だったら、こっちも電話なんかしないよ!」

そんな奇妙なやり取りの繰り返しで、段々言葉も荒くなって、あやうく喧嘩になりかけたらしい。

知人「ですから本当にあなたに電話なんかしてないんです。」
相手「えっ! してない???…」
知人「はい、していません。」
相手「おかしいですねぇ…」
知人「はい、今日は誰にも電話していませんから…」
相手「そうですか…、いやね、私が居ない間に、電話がかかってきて家内が電話に出たんです。すると電話してきた主が、一大事ですから至急メモを取って下さいと言って、オタクの電話番号を言ったんです。妻も何事かと思って慌てて、この番号をメモしたら、電話の主はご主人に至急ここに電話するようにと言って電話が切れたそうなんです。…ですから私も何事かと思って電話したんです。」
知人「そうだったんですか…でもこちらは本当に電話してないんですよ。」

俺の知人は全く知らない相手から、そんな電話が何度かあったらしい。
つまり俺の知人を困らす為に、誰かが策略したイタズラ電話だという事が想像できた。
誰かは想像出来る。だが確実な証拠が無いから名前は控えておこう。

まだ俺の親父が存命だった頃、俺の実家にも毎日イタズラ電話があったらしい。
それも毎日夜中の3時…
その電話を取らないと電話のベルは延々と鳴り続ける。
眠い目をこすりながら家族が受話器を取ると、その電話は無言電話…それの繰り返し…実家の電話は留守番機能がなかったから、家族は大変だった。
そんな電話が一週間ほど続いた頃、俺からも情報を聞いていた親父は、意を決して電話に出た。
親父「誰かはわかってるんだぞ!! お前が▲▲だって事はわかってるんだ!!ただじゃすまないからな!!」
完全な証拠は無かったが、親父が犯人であろう人物の名前を叫んだら、その日からピタリとイタズラ電話が止んだ。

また別の知人の所は電話に出ると、お経のテープが流れたらしい。
そんな災難にあった人間を俺は何十人も知っている。災難にあった人間は全てアニメ関係者だ。
冒頭の制作の人間に対するイタズラ電話の話を聞いて、過去の出来事を思い出した。今回のイタズラ電話は何を意味するものなのだろうか?…
犯人のイタズラ電話復活の予兆なのだろうか?

だがみんな犯人は誰だか察しはついている。
現にそんなイタズラ電話をするように強要されて、仕方なくやった人間の証言も俺は聞いてるし、それが嫌でその会社を辞めた人間も知っている。
最近おとなしくなったと思っていたら、また再び動き出したようだ。

まさに変なのが多いアニメ界は刺激的。そんな事でも半分は楽しまなくちゃ、やってらんない。