ヤマト発信!

                                                                                                           2017/07/17





先日ボ~ッとテレビを見ていたら、映画「宇宙戦艦ヤマト」のコマーシャルが流れていた。
ヤマトは新人の頃に、一番最初のテレビシリーズの動画を描いてた事がある。メカがけっこう面倒で、この作品で初めて「メカ作監」を目にしたような記憶がある。
だがヤマトにあまり興味の無い俺は、「なんだよ、またヤマトかよ~…」そう思った瞬間、画面に「監督・羽原信義」の文字が目に入った。
おお~っ! その瞬間、目が覚めた。

羽原信義…アニメに詳しい人なら、説明の必要は無いだろう。知らない人に説明するならば、アニメ界ではベテランのビッグネーム。
このホームページで、彼の事は何度か書いている。俺の青春時代を共に過ごした「葦プロ時代」の後輩でもある。
そしてこの羽原信義という男、才能豊かで、まるでアニメの申し子であるかのような、「プロ中のプロ」
「そうかぁ~…今度のヤマトは羽原君が監督かぁ…」

彼は、俺が困った時にはいつも励まして、勇気付けてくれる優しい男。
そんな彼に、俺はある事がきっかけで、この男のプロ意識を見せられた事がある。

と言うのは、まだ俺が雑草プロに居た頃、会社との様々なトラブルで羽原君に救いを求めた事があった。
当時俺は雑草プロの責任者。ヤバい会社の現状に次々と辞めて行くスタッフのこれから先の事を案じて、彼に相談したことがあった。
羽原信義はジーベックというアニメ会社の経営者の一人。そこで安易に声をかけてしまったのだ。

電話でこちらの事情を少し説明しながら、俺「そういった訳で、悪いんだけどさぁ、ジーベックで何人か引き受けてくれないかな?…」
俺がそう頼むからには、アニメーターとして腕が最悪の人間は頼めない。当然カスは省いたつもりだった。
そして昔馴染みの俺と羽原君との関係だろうから、少しは良い返事が返ってくると期待していた。

ところが、彼から返ってきた答えは、丁寧ながらもジーベックの子会社の「テスト」を受けて欲しいとの返答だった。
俺はその返答にハッとした。そして恥ずかしかった…
羽原という男、常識もあって、そういったしがらみや、私情を一切排除して自身の信念は決して崩さない。
羽原「辞める人も頑張って上手くなって、会社を見返してやる意識も大事ですよね。」
その通り、ごもっとも。どういった事情があろうとも、彼が求めるのはプロの仕事師、例え知り合いのプロでも「テスト」は当然の関門。
その徹底したプロ意識に二の句が出なかった…

頼みは撤回したが、あらためて羽原信義という男が頼もしくもあり、ますます好きになった。(変な意味は無いぞ(~_~;))

俺は自分がめげないためにいつも強気だが、たまには心が溺れそうになる時もある。
そんな時に彼に愚痴を言って迷惑をかける時もあるが、その都度的確なアドバイスで目を覚まさせてくれる。

羽原という男、仕事にも熱く人情も厚い。そして信念は決してブレない。こんな馬鹿先輩でも真剣に相手をしてくれる。
そんな彼が監督するわけだから、今回のヤマトもきっといい作品に仕上がってることだろう。荒んだアニメ界にも、まだまだ彼のような光がある。

これを読んでる皆様、是非とも彼の作品をご覧くだされ。
なに?…お前は見るかって?…

ごめん…(~_~;)
いろいろ用事思い出したから…

それでも今のアニメの傾向は、完全に趣味か道楽の世界…
俺がアニメを始めた頃と違って、小型ジェットを車並みの値段で作っているようなもの。
アニメは病的な緻密な絵だけが、良い作品だというわけじゃないと思うのだが…
今やそのかかる労力と金銭的負担は、アニメーターが一番大きい…

一番の問題は単なる「モラル」だけ。
「仕事として」、常識的なレベルになれば解決する話。予算に見合った作品作りをすればいいだけの話。
モラルの無いシステムで、権威をかざして「権威の盾に隠れて」現場に石投げてるようじゃ、心は「あの男」とさして変わらない。
人間の欲求なんてとどまる事をしらない。どこかで歯止めをかけないと。
今やアニメ界は、「お豆腐屋さん」と同じように苦難の道を辿ってる…

アニメーター諸君、厳しい世界だけど、俺のような雑魚にならないように頑張ってくれ!
それから、アニメ界の良心・羽原信義君のヤマトもよろしくなあ~ d=(^o^)=b





「オマケ」

ヤマトをやってた当時の俺の手帳。
「ヤマト」を漢字で「大和」と書いてある。
ちなみに「ロボ」とはゲッターロボ。
「タイトル」とは、ゼロテスターのサブタイトル動画。当時は動画で動かしていた。

年代は1975年と思われるが、こんな物が残っていて、今見ると懐かしい思い出だ。

ちなみに当時は、ヤマトの動画一枚の単価は100円だった。(下請け単価)
物価水準で比較すると、当時はタバコ一箱が100円だったから、動画の一枚単価は今よりも遥かに高かった。現在なら一枚400円を越す換算になる。