さよなら豊島園

                                                                                                           2020/09/08





2020年8月31日をもって、豊島園が閉園した。
いろいろケチをつけてきたが、いざ閉園となると寂しいもんだ…ケチを付けたお陰か、再開してからは会員専用の入園入り口も設けられ、混雑回避になった。

閉園に関して、残念な思いは、相棒の南にとっても同じ。
南の住むマンションから豊島園は、徒歩10分もかからないから、親子でよく利用していた。跡地には公園と、「ハリーポッター」の資料館ができるらしいが、おそらくあまり流行らないだろう…
一回行ったら終わりで、リピーターは期待できない。
せめてプールだけでも残して欲しかった…

豊島園の最大の不幸は、豊島園にはディズニーランドのような「プロフェッショナル」がほとんど居なかったこと。
人気に陰りが見え始めた頃には、もはや園内のスタッフも諦めムードで、従業員の質の低下を招いた。けっこう不愉快な目にあったし、園内のお化け屋敷より、やる気の無い従業員の方が不気味だった。

それでも園内の遊具にだけは、お疲れ様とねぎらいの言葉を贈りたい。
ありがとうエルドラド、ありがとうコースター、ありがとうプール。

そんな豊島園が閉園する前に二回プールに行ってきた。南となつくちゃんを誘って三人で楽しんできた。
11月に二人目の子が出産予定の南だが、大きなお腹でヨタヨタ歩いて付いてきた。
なつくちゃんは元気いっぱいのチョロ娘だから、今の南にはもはや、なつくちゃんを追えない。
南にはテントで横になって休んでもらって、俺となつくちゃんはプールで大はしゃぎ!

俺は四歳のなつくちゃんが、可愛くて可愛くてたまらない。よく目の中に入れても痛くないと言うが、俺はなつくちゃんの「人柱」になっても喜んで受ける。それぐらい愛しい。
純粋な小さな子どもと遊んでいると、心が洗われる。なつくちゃんは俺の汚れた心を癒やしてくれる最愛の「おともだち」なのだ。

最近やっと、ろれつが回るようになってきた。少し前まではヘルメットを「ヘメルット」
光が丘公園は「ひかりがこおかえん」
俺を「おいちゃん」と呼んでいたが、今はちゃんと「おじちゃん」と発音できる。

だが子供が苦手で、人に対する思いやりが、全く欠如してるアニメーターは多い。
先日こんな事があった。南となつくちゃんを連れて、近くの後輩アニメーターの家に立ち寄った時の話。
その後輩は、三十過ぎの独身アニメーターの男。
土産にスイカを持って、みんなで食べる事になった。
スイカを切ると、なつくちゃんは「わーい!」と大喜び。
ところが、その後輩が、まな板と包丁を洗いに行って、なかなか戻って来ない…

俺「お~い、早く来いよ。」
後輩「はい、今行きます。」

それでも、なかなか戻って来ない…

俺「何してんだ? 早く来てくれよ。」
後輩「洗い物終わったら行きます。」
俺「そんなの後で洗えばいいんだからさ…」
後輩「すぐ終わりますから。」

ところが、待ってもなかなか終わらない。その間なつくちゃんを含めてみんなスイカはおあづけ状態。
よほどスイカを切ったまな板が気になるのか、ずっと洗ってる…

俺「洗い物だったら、俺が後でやるからさ、早く来いよ。」
後輩「もうちょっとで済みますから…」

まな板と包丁を洗うだけなのに、あまりにも時間がかかり過ぎる…

俺「どうせスイカ食った後に、皿だってを洗わなくちゃなんないんだからさ、その時一緒に洗えばいいんだよ。二度手間だろ?」
後輩「本当にもうちょっとです。」何度催促しても、頑として意志を曲げない…

ここまで念入りに洗ってるのは…ひょっとして、コイツは俺が包丁とまな板を使った事が気に入らなかったからなのか…???…そんな思いが頭をよぎった…
いやいや、コイツはそんな潔癖症じゃない。墓場に生えてる枇杷を食っても平気な奴だ。食物だって賞味期間ギリギリの、「赤札」の食材を一週間分まとめて済ませている。
そう思いながら、なつくちゃんを見ると、早く食べたそうにしてるし、俺のイライラも増してきた。

俺「まな板だったら俺が洗うよ、いいかげん早くしろよ!」
後輩「もっ、もっ、もう少しですから…」

俺の強い口調に少したじろいだようだが、それでも何かに取り憑かれたように、まだまな板を洗っている。
コイツには小さな幼児や周りに対する気遣いのカケラも無い…
俺のイライラが頂点に達した時、ようやくこっちに戻ってきた。何ともいえない不愉快な気分だったが、そこはぐっと我慢した。
ところが、コイツは戻って来るなり、俺の買ってきたスイカを「立ち膝」で食い始めやがった!!Σ( ̄□ ̄)!
みんな座って食べてるのに、「立ち膝」で、下等動物のように下品に喰いやがってる…

俺「膝立てて食うなよ。」

その忠告も無視…これにはさすがに俺の堪忍袋の緒がキレた!

俺「テメエ! ふざけんじゃねえぞ~!!」

殴るわけにもいかないから、自分の分のスイカを拳でクラッシュ! 辺りにスイカの破片が飛び散った…
それでも、コイツは俺の怒りの理由がわからずキョトンとしてる…
幼い幼児におあづけさせて、さんざん待たせた挙げ句、この不作法な態度!!
コイツは昔から、自分の事しか考えられないのだ。
だが、わかろうがわかるまいが、言いたい事だけはキッチリ言ってやった。
場は凍りついて、なつくちゃんは真剣な表情で、気まづい表情…(ごめんね) 南もコイツのあまりの馬鹿さ加減に、追い討ちの説教。

本人は「すいません。」とは言ったものの、どこまで理解したのやら…
変な空気の中、なつくちゃんにスイカを食べさせてから、みんな無言で退散。
それでもコイツは、まだマシな方で、もっとヒドい人間失格の部類のアニメーターも多い。


9月3日。
妻が交通事故にあってしまった…妻が自転車で走行中に車と衝突して、現在入院中…
意識もあり命に別状は無いのだが、頭を打ってるので集中治療室で治療を受けている。

妻は以前に病気で入院した事があったが、その時の担当の看護婦さんはとても親切だった。Kさんという若い看護婦さんで、とても優しく親身に対応してくれた。
お礼をしたかったが、病院では当然そういう事は禁止。
何かできないかと、いろいろ試行錯誤したが、ひとつ名案がひらめいた!
アニメのエンディングロールにKさんの名前を載せちゃおう。
本当はいけない事だが、それがせめてもの感謝の記し。

そしてある人気アニメにKさんの名前が流れるようにした。妻の退院する日に、Kさんにそれを伝えた。Kさんは「オモシロイですね。」と笑った。
放映日を伝えて、それがKさんとの最後の会話だった。Kさんがそれを見たかどうかはわからない。
昔「葦プロ」のプロデューサーが、行き着けの店のホステスの名前を載せていた事があったが、それよりはまだマシか。
こっちは人助けをする看護婦さんへの、感謝の気持ちの不正。一方のプロデューサー氏は、ホステスに「いい格好しい」だけの不正なのだから、意味合いが違う。
まっ、言い訳だけど、そんな事があった。

そういう事をアニメ界全体で考えるてみると、過去にはアニメ関係者じゃないスタッフ名が何人オンエアされたんだろうな…俺の娘の名前も載せてたし…(~_~;)
掛け持ちの仕事がバレるのを恐れて、「おめかけさん」の名前をペンネームにした人もいたっけ。(~_~;)

アニメのスタッフリストなんて、かなりいい加減…
特にアニメーターや仕上げの人のリストはデタラメ。
そのアニメ会社を辞めると、名前が省かれる事がある。オンエア当時の映像ならまだ信用できるが、現在のインターネット上のリストはかなり間違いが多い。
オンエア当事に名前があっても、ビデオやLD、DVD化になると名前が消える…
アニメ会社でアイツは気に入らないとか、もう辞めた人間だから新人の名前を載せちゃえ、という事がままある。つまりアニメ会社側が嘘のデータを流したり、提出するのだ。
そんなわけで、昔の作品では俺もかなり名前を消された経験がある。

もっと悪質なのは、ある下請けのアニメ会社が、「第一話」の全ての作画を担当した。
ところが、スタッフリストには下請け会社のスタッフの名前は載らず、本社のアニメーターの名前が載っていた。
作品の第一話だから、下請けのアニメ会社は精魂込めて作画したはず…プライドの問題だろうが、力の弱い下請けは泣き寝入りした。
アニメーターは「口約束」の世界だから、どうする事もできない…

アニメ界の一部にはこんなデタラメと横暴もある。
それでもアニメがセルの時代はアニメ関係者は元気だった。いろんな意味で元気だったし、ムチャする輩も多かった。
そしてアニメがデジタル化になると、みんなおとなしくなった。特にアニメーターは元気が無くなって陰湿になった。まともな言語も交わせない…


ある後輩に妻の交通事故を報告した。その後輩は時々ウチに来るから、当然妻の事は知っている。
俺「俺の嫁が車に跳ねられたんだ。」
後輩「はい…」
俺「今入院してんだよ。」
後輩「はい…」
俺「今、集中治療室に居るんだ。」
後輩「はい…」

「はい」しか言わない…妻の様態も聞いてこない…

俺「だから俺、しばらく仕事休むよ。」
後輩「はい…そうですか。」

驚くのは、社交辞令の「お大事に。」の言葉ひとつさえ言えない…
ダメなアニメーターなんてこんなもん。なつくちゃんだって心配してくれるのに、馬鹿アニメーターは幼児よりもオツムが弱い。

デジタル化が進んで、今は言葉も人との交流もいらない時代。それでも生きていける時代。
そのうち「スポーツ」もデジタル化するんじゃないか。選手のデータを集めて、ボクシングやサッカーもコンピューターが結果を決める。
そんなデジタルの世界になっても、俺はこのまま時代遅れの馬鹿人間でありたい。
妻の回復を願いながら、未だ昭和の世界を突き進んでる。

ドン・キホーテ柳田。