南の近況

                                                                                                           2017/04/13





ホームページを休んでいた間に様々な出来事があった。
数々のトラブル、数々の理不尽な出来事…
その間、多くのアニメーターの卵が入社し、多くのアニメーターが去って行った。
雑草スタジオではホームページを休んでる一年の間に、この雑草スタジオだけでも20人のアニメーターが辞めて行った。それでも今となってはめでたいこと。もうこの会社は救いようが無い。

明るい話では、退社した南に赤ちゃんが授かり、無事に女の子が誕生した。
その赤ちゃんは、現在ちょうど一歳。毎日元気にトコトコ歩いて遊んでる。

名前は仮名で、なつくちゃん。
南の妊娠がわかって、お腹の中に居た時から、勝手に「なつくちゃん」と名前を付けて呼んでいた。
「なつくちゃあ~ん、早く出て来てねぇ~」などと…(〃▽〃)
アダ名の由来は、なついて欲しいから「なつくちゃん」。本当の名前は、もちろん別にあるのだが、ここではアダ名のなつくちゃんと呼ぶ事にする。

そのなつくちゃんを俺は可愛くて可愛くてたまらない\(^o^)/
まるで孫が産まれたかのような溺愛ぶり。
俺の心は現在曇り空だが、なつくちゃんの顔を見た瞬間、全ての嫌な事が吹き飛ぶのだ。

そしてアダ名の由来通り、このおじちゃんになついてくれている。
本当のおじいちゃんより、むしろ俺の方が好かれてるかも。会ってる回数が違うから当然だが、作詞家のおじいちゃんの方は、なつくちゃんが一歳になって、やっと泣かれなくなった。
それまでは、顔を見る度に泣かれてたのだ。
なつくちゃんは、おばあちゃんの方には食べ物をあげるのだが、おじいちゃんには絶対にあげない^_^;
「ああ~ん」と大口開けてマヌケな顔で、待ってても(ごめんなさい)いつも肩すかし…
それでも、「泣かれなくなっただけでも前進だよ。」なんて喜んでる。

なつくちゃんの好きなキャラクターはミニーマウス。ミニーちゃんを見るたびニッコリ(*⌒▽⌒*)

なつくちゃんは4ヶ月でハイハイでの「追いかけっこ」や「かくれんぼ」を理解した。そして5ヶ月で言葉を発した凄い子。
4ヶ月の頃に身体を抱き上げて、両足を前後に動かして、歩く遊びをしていた。
「おいちょ、おいちょ」と言葉をかけながら、会う度にそんな事を繰り返していた。
すると、5ヶ月の時にそれを理解したのか、足を動かすたびに「チョッ、チョッ、」っと、言葉を発したのだ。
それにはみんなビックリ!

なつくちゃんは物事の吸収が早く、人の感情やその場の空気まで察する賢い子。
まだ一歳になったばかりなのに、お母さんが、「お風呂に入れる物、持って来て。」と言うと、隣の部屋までトコトコ歩いて入浴剤を持って来る。
なつくちゃんのお父さんも、その理解力にはビックリ!
言葉は話せないが、言葉をちゃんと理解してる賢い子。

俺と出会った頃の南はクールで、とても子供の相手など出来るような人間じゃなかった。今では優しくなっていいお母さんをやっている。
そんな幸せの絶頂にある母親の南は、子供が生まれて人生観が変わったと言っている。

俺も子供が産まれた当時に価値観が変わったものがある。それはNHKの有り難さを改めて感じた。
それまではNHKの受信料を払うのがバカらしいと思っていたが、いざ子供が産まれてみると、少し考えが変わった。
なつくちゃんと同じぐらいの子供が喜ぶのは、やはりNHKなのだ。
この年代だとまだストーリーがわからないし、単純なパントマイム的な動きの番組はNHKぐらいしかない。小さな子供の居るお母さんなら、おわかりだろうけど、つくづくそう思った。

そのなつくちゃんがお昼寝している合間に、南に少しは仕事を手伝ってもらっていたが、それももうじき終わる。
この会社の六割引かれる仕事なんて、南にはどうでもいいこと。単に俺に協力してくれていただけ。
あれから南の安全の為に今後は会社が、何を言ってきても一切応じるなと伝えてある。南もこの会社にとっては、「悪魔」の一人なのだから。
おっと、また話が暗くなる^_^;
そんな暗雲も、なつくちゃんの笑顔で吹き飛んでる。

そのなつくちゃんは音楽が大好き。いつも音楽に合わせて、ぎこちないダンスを踊ってる。
なつくちゃんと会うたびに俺は、抱っこして、歌を歌ってはマヌケな事ばかりしてる。(*´д`*)
この子が喜ぶなら、どんな事でもやる。お馬さんになったり、怪獣になったり百面相したりと、いつも道化ジジイを演じてる。

子供の頃はこういった生活だけを想像していた。60過ぎたら孫の相手をしながら、悠々自適にのんびり過ごしてる自分を想像していた…
よもや、毎日必死こいて仕事をしながら、刺激だらけの内なる敵と戦っているなんて夢にも思ってなかった。その内なる敵との戦いは今月で終わるが、今度は相手が外なる敵になってくるかもしれない。クワバラ、クワバラ。

俺は今月で61歳になった。時代遅れの人間だし、時代遅れのアニメーターなのもわかってる。
言ってみれば多くのアニメーターの賃金も時代遅れ。昭和四十年代の物価水準に戻らないと、職業としては成立しない。

俺は仕送り貰って仕事してる若いアニメーター達にはよく言っている。
「生活費送ってくれるなんて、君等の親は成功者なんだ。俺なんかしたくたって、とてもじゃないけど出来ない。」それはみんなアニメーターになってつくづく身にしみている。

これからも俺は雑草の一人として、仕事するだろうが、漫画みたいな人生、それなりに楽しんでる。

金が無いのが悩みの種。成功者の誰かお金くれない?(^^ゞ