アニメ界のモンスター

                                                                                                           2017/03/29





2017年・3月の初旬に問題が発生した。

事の始まりは、役員の甘崎(仮名)が、社長に渡す偽物の日報を作っていた事から話は始まる。
その改ざんした日報には、多くの架空の人間の名前が存在した。また作業業績の数字までデタラメだったのだ。
この会社の制作で、役員でもある甘崎の言い訳によれば、スタッフが段々減っていく現状を社長が知れば、「地獄のミーティング」で責任を追求される。日報の改ざんは、その恐怖からの出来事だったらしい。

その日報の改ざんを雑草スタジオの俺の部下にもやらせようとしたから、話がややこしくなった。
「そんな不正をするぐらいなら辞めたい。」と言う人間が続出したのだ。雑草スタジオの責任者として、俺はそんな事をやらせるわけにはいかない。書類の改ざんは形として残るし当然それは断った。
その事実を社長が知る事になって、会議になったのだった。
だが、俺はこの会社の役員でもなければ、社員でもない。
単なる雇われの指導者にすぎない、しょせんノルマ制のアニメーター。仕事をしなければ食ってはいけないのだ。
俺は何も悪い事はしてないし、会議はすぐに終わると思って、渋々ながら参加した。

ところが、その日の会議は社長の一方的な恫喝だけが、延々と続いた。
会議は甘崎に対する拷問のような罵声が延々と続き、終わる様子が全く無い…
俺は今まで、甘崎の過酷な奴隷状態を知っていたから、段々甘崎が可哀想になっていった。

はっきり言って、この社長は普通じゃない。後に述べるが「まとも」じゃないのだ…
社長は現場には全く顔を出さず、全ては他人任せ…それでいて責任だけは他人に押し付ける。
そもそもこの会社は業界一低賃金で、社長の評判は最悪なのだ。過去には道を尋ねたアニメファンに、交番の警察官が行ってはダメだと追い払ったほど…
そもそも人数が減って行くのは、何も甘崎のせいじゃない。甘崎にしてみれば、いつも責任だけを押し付けられ、こういった拷問のような会議を恐れたからこそ、架空の日報を作ったのだろう…
そんな終わる気配のない、拷問のような会議に、俺は甘崎をこの場から救ってやろうと思った。

俺「オイ、立て!」椅子に座って、うなだれている甘崎の腕を掴んで、甘崎を強引に立たせた。
俺「人数が減ってるのを社長に言わなかった事は俺にも責任はある。俺と一緒に謝ろう。」
そう言って、俺は甘崎の腕を掴んで、床に土下座して社長に詫びをいれた。
俺は愚直なまで正直だ。仲間を救う為なら、土下座なんて何でもない。
それで、いくらか社長の気持ちも和らいだように見えたので、しばらくして俺は仕事に戻った。
ところが、その会議は朝まで続いたらしい…

翌日の土曜日。
朝起きて、昨夜の会議を振り返ってみると、どこか妙で、甘崎にある疑念が湧いた。
会社に着くと、真っ先に甘崎のスタジオに向かった。
そして甘崎を問い詰めて、疑念をぶつけた。

俺「何か隠してるなら、正直に社長に言え。自分の口から言えないなら、俺がその疑念を社長に話す。よおく考えてくれ。」そう言って甘崎の居るスタジオを後にした。
しばらくすると、社長と甘崎の二人が、雑草スタジオに俺を訪ねて来た。
話があるから、別のスタジオの一室に来てくれと言う。
俺に関係ない話にはウンザリしていたが、俺は何もしていないし、逃げるつもりもない。

三人で誰も居ないスタジオに移動すると、理由がわかった。
俺が甘崎に問い詰めに言った事を、こともあろうに、甘崎が社長に「柳田が怒鳴り込みに来た。」と報告したのだ。(コイツは馬鹿か?…)
それからまた話がややこしくなる。
会議は怒号が飛び交い、呆れた事に、昨夜一緒に土下座までして、助けてやった甘崎までもが、俺に対して「俺の話を聞け!」と怒鳴りやがる始末。

驚く事に、この時の話の過程で、甘崎の給料が「45万円」だという事を知る。
ふざけやがって、コイツの多額の給料は、みんなの金をピンハネして支払われてるのだ。
そんなに貰ってるんだったら、社長の奴隷だってしょうがないなと思った。
だが俺は何も悪い事はしてないわけだから、結局話は甘崎の偽の日報の話に行き着く。

社長「お前は信用出来ない!一橋さんを呼べ!」と社長が甘崎に命じた。
一橋さん(仮名)とは、甘崎のスタジオに所属する原画を描いている女の子だ。
一橋さんが来ると、社長は何も知らない一橋さんに事の真相を話してしまった…
そして一橋さんを呼んだ理由を切り出した。社長「甘崎は信用出来ないから、今後は一橋さんが甘崎の日報をチェックして、判子を押してから提出してくれ。」
当然一橋さんは拒否。誰だって自分の上司の書類をチェックするなんて、嫌に決まってる。
社長「一万円の手当てをするから頼む。」社長はしつこい。そんな押し問答が続き、最後は一橋さんが音をあげて、渋々ながらも承諾。

そこから社長の話が右往左往する。何十年も前の甘崎のミスを攻撃しだした。そういった数々のミスの連続攻撃が延々と続く。そのうち突然「お釈迦様」の話になる。はたまたキリスト教の話に飛ぶ。
そんな無駄な話で数時間が過ぎ、その間、俺と一橋さんが何度も仕事に戻りたいと、社長に直訴するも社長が帰さない。

一橋「仕事もありますし、私にいろいろ言われましても困ります。」
社長「いや、居てくれ。一橋さん、この話はそんな簡単な事じゃないんだ。」
一橋「それはわかりますけど、後は社長の一存で決めればいい話です。」
社長「いや、簡単にそう言うけど、単純な話じゃないんだ。」
一橋「ですから、社長が決めればいいんです。」

そんなやりとりが何度も続き、しびれを切らした俺が口を挟んだ。
俺「今回の件は一橋さんには全く関係ないし、そろそろ返してやらないと嫌気さしてしまいますよ。」と助け舟。
すると一橋さんが、社長の顔を毅然と見て、「ハイ、辞めたい気分です。」
それでも社長は耳を貸さない。とにかく居てくれの一点張りで、甘崎の欠点や悪口を一橋さんに散々聞かす。

昼過ぎから始まった話が、夕方まで続き、俺も一橋さんも全く仕事にならない。
そして甘崎に対する数々の暴言が、全く関係のない俺の所に回って来た。
上井草の神父さんに相談したら、柳田という男はひがみっぽくて、気をつけた方がいいと言われたと俺を攻撃しだした。

社長「オイ!甘崎!お前も一緒に神父さんの話は聞いただろ!」
甘崎「はっ、はい…」
…そうか、甘崎はそんな所へも連れてかれてるのか…
だが、俺は一度も会った事もない神父に、とやかく言われる筋合いはない!

そして話は俺に対する数々の暴言に変わって行った。
ミーティングと称して、話の最中に攻撃対象がコロコロ変わるのだ。
今までもそれが嫌で、多くの人間がここを去って行った。
特に隣に座っている甘崎に対する仕打ちは、もっと酷い。 昔から地獄のミーティングを受け続け、私生活でも拷問の連続…
精神がたるんでると言っては、寺で「護摩炊き」をやらされたり、鎌倉の教会に連れて行かれたり、家族全員が強引にある宗教に入信させられた過去もある。

甘崎は元々はアニメーターだったのだが、その地獄のミーティングの最中に、缶コーヒーを眼にぶつけられ、「網膜剥離」になって、それが原因でアニメーターを引退している。そして現在は制作兼、奴隷として働いている。
会社で何かあると、自宅まで社長に怒鳴り込まれ、何度か蒸発までしている。
社長のその怒鳴り込みは、甘崎の妻や娘が居ても、そんな事はおかまいなし…そんな甘崎はいつもサンドバック状態…
社長からの電話でも、電話の出方が悪いと言っては、何度もやり直しを食らってる。

甘崎「はい、〇〇プロです。」
社長「声が暗い!、もう一回だ!!」と電話を切られ、それを繰り返す…
甘崎「はい、〇〇プロです。」
社長「声が小さい!、もう一回だ!!」と電話を切られ、そんな事を30分ぐらいさせられるのだ…

今はどこからか取り寄せた「聖水」を使えと、半ば強引に押し付けられてるとのこと…
こんな話は山ほどある。ここを辞めて行った多くのアニメーターが、それを目の当たりに見たり、耐えきれなくなった甘崎の口から直接聞いている。
そういったパワハラを止める人間は、甘崎のスタジオには居ない…
長年この会社に居る作画監督も、社長の狂気を知っていながら、完全に黙認してる。スタジオで何か問題があっても、我関せずを貫き通す徹底ぶり。中の女の子がセクハラをされても、逃げ腰で何の協力もしない最低の人間。
いや、この男も甘崎同様、ある意味社長に洗脳されているのだろう…嫌みを言えば、「辛抱」してるんだろ。

話を戻そう。
甘崎の「日報改ざん問題」は、そっちのけで、あろう事か、いつの間にか俺への人格攻撃へと変わっていった。
延々と続く俺の人格攻撃に、黙って聞いていたが、頭の中は過去の忌まわしい思い出だけが、めまぐるしく蘇ってきた。
その嫌な思い出は体全体に充満して、頭の中は完全に制御不能に陥った。

なんで俺はこの男にそこまで言われなきゃならない…
過去にも意味の無い徹夜のミーティングに何度も参加させられ、酷い時には一週間で四時間しか、睡眠を取れなかった時もある…
そして若い頃は、この男に洗脳され、命令されて数々の悪事に手を染めた。
嫌がらせ電話から始まり、同業者に刺客まがいの暴力で、刑務所に入った事もある。
だが、決してこの男の指令だとは、頑として口を割らなかった…

過去にはそんな洗脳された人間が、この会社には何人も居たのだ。この男は決して自分では手を汚さないのだ。洗脳人間を次々に造り出して、その人間達にやらせてきたのだ。
そして辞めて行った人間への数々の嫌がらせ。洗脳した人間を送り出して、自宅前でのシュプレヒコール。警察官が駆けつけても、洗脳された人間は、警察にも決して怯まない。反対に食ってかかる。
未成年者を使っての狂言自殺未遂。

極めつけは、日本中を震撼させたあの「集団リンチ事件」だ!!!(本文・大事件勃発・参照)
未成年者のアニメーター達を洗脳して、退社願いを申し出たMさんを監禁して集団リンチ事件を起こしたのだ!
その後始末をしたのは俺だ! それなのに、この男は俺を大事にするどころか、俺の心の闇を棒で突つく。
あの事件後も、この男は何の反省もせず、数々の悪行をスタッフにやらせていたのだ! その攻撃対象は、本人だけでなく、その親族にまで及ぶ。
そして俺は眼が覚めた時、スタッフ全員でここを去った。

この男は現在も今も、過去と全く変わってない!
自分のしてきた事は棚に上げて、裏では悪行三昧。そして多くのスタッフとその家族までを苦しめてきたのだ。そんな思いがついに爆発した!

「テメエにそんな事言われる覚えはねえ!、俺はテメエに命令されて刺客まがいの事までして来た男だ!それにあのリンチ事件の後始末をしたのだって俺だ!」
怒りの核弾頭は馬鹿社長に発射された!
呆然とする甘崎と、一橋さんに遠慮することなく俺は吠え続けた!
馬鹿社長は何を考えてるのか、憮然としたツラで聞いている。

俺がこんな会社に戻ったのは、もう何十年も前の出来事だったし、少しは変わっていると思っていたから、そのオファーを受けた。
そして俺の過去の心の闇は、ここでアニメーターのタマゴを指導する事で清算しようと思っていた…
それはここでしか、成し得ない清算だった…
自分を反省して、俺をそっとしておいてくれれば、化けの皮を剥がされずに済んだのだ。
ところが、何の反省もせず、全ての正義は自分一人で、他人を攻撃しまくるだけ…
この会社は何の変化も無く、次から次へと問題だらけ…
俺の心の片隅には、もう二度とそんな事はさせないぞという気持ちもあった…
隣に居る甘崎だって、数々の嫌がらせをさせられたと、俺には告白している。

時刻は6時半を過ぎ、関係の無い一橋さんは仕事に戻ってもらったが、彼女がどう受け止めたか俺は知らない。この出来事を監禁と言ってる訳じゃない。話はまだまだ続く。


そして今度は、場所を雑草スタジオの別室に移動しての話し合いになった。
この時点で俺は、ここを辞める決心をして、話し合いに応じた。そして2ヶ月後に辞める事を甘崎に伝えた。それが会社の規約だからだ。
そして疑惑だけは、徹底的に追求してやろうと思った。

雑草プロの別室での俺の追求に、甘崎がついに会社の金の引き出しに、関与していた事を告白した。
その金は、甘崎が自分の懐に入れた訳でもなく、別の役員の指示だったようだ。
言わば俺は会社にとっての恩人だ。だが話はこれで終わらない。馬鹿社長の甘崎に対する追求と罵倒が続く。そのうち馬鹿社長の支離滅裂な話は、いろんな所に飛んだ。マリア様がどうのこうの、自分の弟の嫁の批判、その娘の悪態などなど…そして話は、俺と甘崎の血液型まで批判の的になった。そもそも話の内容は、何の話し合いなのかわからなくなっていった。

社長「このスタジオに俺の顔を見ると、そそくさと逃げる女の子が居るけど、それは何という名前だ。」
甘崎「どんな感じの女の子なんですか?」
社長「OL風の女なんだ。」
そんな大ざっぱに言われてもわからない。
その点を何度確認しても、社長の口からはOL風としか出てこない。
そんな押し問答が続き、俺と甘崎は宮城(仮名)じゃないかと想像した。そしてそれを社長に告げた。
社長がその娘はどんな人間だと聞くので、俺達は社長の奥さんのように、穏やかでおっとりした感じだと伝えた。

そして12時を過ぎた頃、その宮城が俺達の居る別室に、帰りの挨拶にやって来た。
俺は真面目な宮城が、人に対してそんな失礼な事をする人間じゃないとわかっていたから、ついでに宮城を見てもらった。
すると社長が激怒!
社長「この娘じゃない!それに俺の女房に似てない!」
甘崎「いや、容姿じゃなくて、性格の雰囲気を言ったんです。」甘崎が必死に弁解しても馬鹿社長は納得しない。
一方の宮城は社長の激怒に驚いて、その場で立ちすくんでいる。
社長「お前らは各スタジオの管理者として成ってない!」

あまりの理不尽な追求にイライラした俺は、「個人の感じた感性や宗教感まで、とやかく言われる筋合いはない。」と反論した。それでも納得しない馬鹿は俺と甘崎を責め続ける。
意地になった俺は、別室に保存してあった膨大な履歴書を全部持って来て、馬鹿に確認してもらった。
その履歴書を馬鹿社長が一枚一枚チェックしていたが、該当者は居なかったようだ。
該当者が居なかった事に対する馬鹿社長のイライラが、再び俺と甘崎に向けられた。

数々の暴言を俺達に浴びせ、その応酬が一時間ほど続いた。
会社の金の横領の問題は、そっちのけで、話は宮城の性格の雰囲気が、似てる似てないが重大問題に変わっていった。
宮城は全身が固まって、入り口の前で呆然として立ちすくんでいる。
それに気が付いた俺が「宮城は関係ないんだから、もう帰れ。」と言うと、馬鹿社長が大激怒!「勝手に帰すな!、誰が帰っていいと言ったあ!!!」

もはや権力者の暴言と、わがまま以外の何事でもない。
その狂気の沙汰に怯える宮城は、ずっと何時間も立ったまま…

話は馬鹿社長の俺達に対する罵倒と、何の落ち度も無い宮城を帰す帰さないの、そんな応酬が長時間に及んだ。
時刻は深夜の3時近くになった。
俺「今回の会社の問題と、宮城の雰囲気がどう関係あるんだ!」
そしてまた怒鳴り合い! 再び俺はキレた!
俺「この会社はなんだ!今まで嫌な思いで辞めて行った人間達の怨念の塊じゃねえか! 今までの悪行に怯えて、宗教なんかに頼ったって、どうせアンタは地獄に堕ちるんだあ!!」

この男のミーティングは危うい。南が在籍していた時も、南はこの馬鹿に、「お前には悪魔が憑いている!」と、言われたそうだ。
今回も全く関係の無い宮城の監禁状態に、たまりかねた俺は、宮城の腕をつかんでドアに向かった。「さあ宮城、もう帰るぞ!」
「ちょっと待てえ~!」怒号と共に馬鹿が追って来て、俺の腕を掴んだ。俺はその手を振りほどいて、「これ以上したら監禁だぞ!」と怒鳴りつけた。
そのまま宮城の手を掴んで、その場を逃げ出した。
もしそれでも追って来たら、俺はこの馬鹿を叩きのめして、五体満足じゃない体にしていたかもしれない。それぐらいの覚悟はあった。
そして宮城の住むアパートの前まで、彼女を送って行った。

この日も10時間以上も馬鹿に翻弄されただけで、無駄な時間だけを浪費した。
そもそも俺や宮城は、事の始まりの会社の不正経理とは無縁なわけなのだ。何の落ち度も無いし、個人攻撃される覚えは全くないのだ。

ところが、翌日また馬鹿と甘崎がスタジオに現れて、自ら異常人間である事をスタジオの人間に晒してしてしまう…。


翌日雑草スタジオで仕事をしていると、昼過ぎにまた馬鹿社長と甘崎の二人が、話があるとやって来た。
話し合ったところで、仕事も出来ないし、まともな話し合いになるわけがない。
俺は二人の顔を見て、「もう話し合うことなんかねえよ!」と怒鳴って外に飛び出した。

30分ほどしてスタジオに戻ったが、二人はまだスタジオに居た。
後で聞いた話だが、俺が居ない間、馬鹿社長は全員に延々と俺の悪口を言ってたらしい。そして、「柳田が暴れたら、警察を呼べ。」などと、訳のわからない事を言ってたらしい。

俺がスタジオに戻るとまた一悶着。
今回の会社の横領問題と、何の関係も無い俺やスタッフを巻き込んで話し合うことも無い。
俺「何で関係無い人間まで巻き込む必要がある。」
すると、馬鹿がまた俺の人格攻撃を始めた。そして、興奮して俺の腕を掴んだ。
俺「うるせえ! 手を離せ!」その手を払いのけた。
馬鹿「お前程度の人間が責任者だから、このスタジオは利益が上がらないんだ!」とほざく。
俺「テメエの悪行と、業界一の低賃金だから、カスしか来ねえんだ!」

こうなったら、ここに居る人間に全部コイツの悪行の数々を聞かせてやろう。
俺はかなりの勢いで、昨日と同じように数々の悪行を暴露してやった。
馬鹿は一瞬怯んで、「何でこんな所で…」と焦って小さく呟いた。
俺「関係ねえ!全部が事実だ!、俺が生き証人だ!」
馬鹿社長「お前が刑務所に入ったのは、自分の意志でやった事だろ!」
馬鹿がみんなの手前、そう取り繕ったが、ふざけるんじゃない、誰が見ず知らずの人間を呼び出して殴る奴がいる…
俺「じゃあ、あのアニメ界を震撼させたリンチ事件はどうなんだ! 新聞調べりゃ一目瞭然だ!」その言葉に馬鹿が息を飲んだ。
俺「あの事件だけじゃない、次々若い奴らを使って悪行させただろ!」スタジオは静まり返って、みんな仕事の手を休めて聞いている。ここは「オウムに似た」スタジオだった…

俺の怒りは頂点に達した。今すぐコイツを殺してしまいたいぐらいだった。だがそれは出来ない…
俺「俺はなあ、人生賭けて呪い殺してやるからなあ!!」身震いする雄叫びで吠えた!!
それが俺に出来る精一杯の心の叫びだった。

馬鹿にとって、分が悪くなったのか、今度は隣に立ってる甘崎に攻撃目標を変えた。
延々と甘崎の人格攻撃。小さくなって立ってる甘崎は、それに耐え続けてる。それにたまりかねたスタジオの流が「仕事になりませんので、そろそろ終わりにしてもらえませんか?」と言っても完全無視。
俺はこの状況をどう終わらせるのか、それを注目していた。

ところが、一時間しても二時間しても終わらない…
俺が他でやってくれと言っても、「もうすぐ終わるから。」と言って、ねちっこい説教は続く…
スタジオの中央で、立ちっぱなしでそんな事やってるから、全員作業はストップ…
昼過ぎから始まった馬鹿の「戯言」が終わったのは6時半…
結局、何の解決も何の成果も無く、二人は出て行った。結局は馬鹿社長が、自ら自分の狂人ぶりを露呈しただけの結果だけに終わった。
後でみんなに感想を聞くと、「噂では聞いてましたけど、凄いですねぇ…」とか、「アレを見ちゃうと、ちょっと…」と戸惑いの声ばかりだった。

そして今回の出来事で、宮城の退社の決意は揺るぎないものとなった。
ひとつ付け加えるならば、宮城はセクハラも受けている。(本文・イヤよ、イヤイヤア~参照)
つまり「嫌代」と宮城は同一人物なのだ。
俺がこの会社に居る以上、嫌代が別会社に居る人間として紹介したのだ。
セクハラを受け、今回も異常な体験をした彼女にとって、この会社に留まる思いなんか無いだろう…

その嫌代にセクハラをしたのは、馬鹿社長の実弟なのだ。
馬鹿社長の弟は、うつ病を患い、いつしかおかしくなった。そのうつ病の原因は、何十年にも及ぶ、馬鹿社長の地獄のミーティングと、強引な脅迫的な無理難題を押し付けられて、いつしか病んでしまった…
病気になる前はいたって穏やかな性格だった。

実の弟でさえ奴隷のように扱い、ここに来る人間は、コイツと関わると逃げ出すか、廃人のようになって去って行く。
この男を慕う人間は日本中一人もいない。敵ばかりで恨みを持つ人間は何百人いるかわからない。
それから、このホームページの、まともじゃない物語は、ほぼこの会社の出来事と思ってもらえばいい。証人はいくらでもいる。
俺がここに戻るまでの30年間…俺の知らない悪行がどれだけあったか想像するだけで、背筋が寒くなる。俺の体験はほんの一部で、もっと悲惨で「状況証拠」だけの不幸な話はもっとある。そしてみんな去って行く…

今回の出来事で、この雑草スタジオに残るのは、レベルが低い二人だけ…
それでも、他に行き場の無い人間は、哀れここにしがみつくしかないのだ。


その翌日。
今度は社長の弟に呼び出された。話の内容は、社長の指示だと言って、俺に今月いっぱいでスタジオを出るようにと言われた。
それは虫が良すぎる。明らかに会社の規約違反で、当然俺は拒否。
会社は退社する時は2ヶ月後という書類に判子まで押させておきながら、都合が悪くなるとすぐに出ろと言うのでは虫が良すぎる。
雑草スタジオには、俺の私物が大量にあるし、それがクビならば、それなりの説明を示せと返答。
それでも今月で出ろと言うなら、ひと月分の金を出してくれるなら承諾すると回答。
社長の弟は「社長にそれを報告する。」と言ってその日は別れた。

その翌日。
今度は甘崎が、社長の指示で近くの交番に出向いて、「会社に居座ってる人間が居る」と相談。…コイツは、もはや馬鹿のいいなり…
警察は当然そんな事に介入しない。「自分達で話し合って下さい。」と追い払われるハメに。
その報告を受けた馬鹿が、甘崎に激怒!!「お前じゃ駄目だ!俺が電話する!」
何度も警察に電話するも相手にされず、しまいに警官が馬鹿の自宅に説得に…

そのまた翌日。
甘崎が来て「社長が弁護士に相談すると言ってる。俺もその方がいいと思うんだよねぇ…」と困り顔…
俺「ところでさ、昨日交番に行って、取り合ってもらえると思ったのか?」
甘崎「いや、思ってない。行かないとまた散々だし、人の言う事なんかきかないしね…」と、もはや諦めてる。

その後、甘崎が弁護士の所に行かされたらしいが、どうなったのか、その弁護士からも、何の音沙汰も無い。
甘崎は完全にキ印社長に洗脳されて、馬鹿のいいなりで自分の人生さえ諦めてるようだ…

そしてもう一人。社長の最大の協力者、作画監督の辛抱(仮名)が居る。
何が起こっても傍観しているだけで、何もしようとしない。人質が監禁されると、いつしか犯人に迎合するように、もはやこの二人には、他人の感情や事の善悪さえわからなくなっているのだろう…

そして、ここのモンスターが存在する以上、いつか必ず何かが起こる。
再びアニメ界を激震させて、汚点を残す可能性は大だ。
玩具メーカーまで巻き込んで、キャラクターのイメージまで堕とし、それが世界中に発信されるかもしれない…

俺はもうじき雑草スタジオを去る。他の人間と同じように、ここに怨念だけを残して出て行くのだ。俺が生きてる間にこの会社が滅びゆく事を願って…


2017年・3月某日

ドン・キホーテ・柳田